【3分で紹介】落語「三枚起請(きしょう)」のあらすじとオチ(サゲ)
三枚起請(さんまいきしょう)のあらすじ
昔は、カラスの鳴き声が朝早くからうるさく、「三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい」と都々逸(七・七・七・五の定型詩)にも歌わていた。
若旦那の亥のさんは、吉原の遊女・喜瀬川に惚れ込んでいることを母親に心配される。
母親が棟梁にそのことを相談し、棟梁が詳細を聞くと、亥のさんは喜瀬川から起請文を貰っている様子。
ただ驚いたことに、棟梁も同じく喜瀬川から起請文をもらっていることが判明する。
また、経師屋の清公も同様で、3人は喜瀬川に復讐をするために、茶屋で彼女を待ち伏せする。
しかし、3人に問い詰められた喜瀬川は開き直り、自分が騙すのが商売だと主張する。
棟梁は、”嫌で起請を書く時は熊野で烏が三羽死ぬ”という言葉を引き合いに喜瀬川にさらに怒る。
すると喜瀬川は、”起請文を沢山書いて烏を殺し、朝寝がしたい”と言うのだった。
起請文とは?
起請文(きしょうもん)とは、約束事を神仏に誓うことを書き表した文書で、起請とも呼ばれます。
和歌山の熊野神社で配布される札に男女で「来世も結ばれる仲」として誓を立て、神社に納める風習がありました。
誓いを破った際には、棟梁の言葉にある通り、熊野神社の使いであるカラスが死に、約束を破った者も死ぬと言われていました。当時は意を決した男女の契りだったと言えるでしょう。
オチ(サゲ)の種類オチ
仕込みオチ
主な登場人物
喜瀬川
吉原の遊女。男女の契りを表す起請文を数人に送ったのがばれてしまい、問い詰められる。
亥のさん
お店の若旦那。喜瀬川に惚れ込んでおり、母親に心配されたことで一連の事態に発展する。
棟梁
亥のさんの母親に相談され、自分が貰った起請文を亥のさんも貰っていたことが発覚する。
清公
経師屋。たまたま起請文の話を知り、自身も被害者だと気付き、喜瀬川に訴えに行く。
「幕末太陽傳」での映像化
三枚起請は、「居残り佐平次」を脚本のベースとした映画「幕末太陽傳」(1957年・川島雄三監督)で、「お見立て」「品川心中」などの落語と並んで映像化されています。
喜瀬川(映画では「こはる」)を南田洋子が演じており、その好演ぶりが魅力です。
映画の喜瀬川(こはる)は、三枚起請の話に加え、「お見立て」の喜瀬川とも同一人物として描かれます。
また、映画では、三枚起請のオチの仕込みとなる「三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい」の歌を詠んだと言われる高杉晋作(役:石原裕次郎)が登場するシーンも。
佐平次(役:フランキー堺)がお風呂で歌を口ずさむと、同じく風呂に入っていた高杉が”自分が詠んだ歌だから恥ずかしい”とさりげなく教えてくれるという、映画ならではの表現が楽しめます。