【3分で紹介】落語「居残り佐平次」のあらすじとオチ(サゲ)
居残り佐平次のあらすじ
佐平次が友人を品川に誘い、どんちゃん騒ぎの贅沢な晩を楽しむ。
翌日、佐平次は友人に勘定を殆ど払わさせず帰らせ、自身は店に居残ることを決める。
佐平次は勘定を誤魔化そうとするが、店の者に払えないことがばれ、布団部屋に押し込められる。
だが、器量の良い佐平次は店で人気者となり、花魁や客から指名を受けて仕事をこなしていた。
それをねたんだ店の若い衆が主人に相談する。
主人は佐平次を出て行ってもらうよう頼むが、佐平次は渋ってなかなか出て行かない。
挙句の果てに、佐平次は主人から着物や帯、お金を恵んでもらい、ようやく出て行くことに。
若い衆は佐平次を裏から出すように言うが、主人は「裏を返されると怖いから」と、表から送り出すのだった。
オチ(サゲ)の種類
地口オチ
主な登場人物
佐平次
主人公。友人たち品川に誘うが、勘定を払えずに店に残ることになり、店で働いて人気者になる。
友人
佐平次に誘われて品川に行く4人の男たち。佐平次の勘定を払えずに心配するが、朝に帰らされる。
花魁
店で働く花魁で、佐平次に手紙の代筆や話し相手などを任せている。
主人
店の主人。佐平次を店から出て行かせたいと思っている。佐平次に出て行ってもらう代わりに、着物や金を要求される。
「幕末太陽傳」での映像化
「居残り佐平次」は、鬼才・川島雄三の手によって映画化されています。
それが、1957年に公開された『幕末太陽傳』です。
脚本は「居残り佐平次」をベースに、「お見立て」「品川心中」「三枚起請」などの廓話の落語が取り入れられています。
落語の世界観を映像化した作品としては、最高峰と言えるのではないでしょうか。
佐平次を演じるのは昭和の大俳優・フランキー堺ですが、その役柄のぴったりなことと。
佐平次の、ひょうきんかつ生命力に溢れた江戸っ子の魅力が見事に表現されています。
宴会シーンで太鼓のバチをひょいひょいっと回すところ、店の主人との話し合い後に着物をパッと空中に上げ、両腕を軽々しく通すところ…。細やかな仕草の演技がとても魅力です。
制作当初、ラストシーンは撮影所から佐平次が飛び出し、現在の品川まで駆け抜けていくことになっていましたが、フランキー堺はじめ現場スタッフから却下され、現在のラストシーンになったという逸話も残っています。
当時、日活から東京映画へ移籍を控えていた川島監督。現状から飛び出して行きたいという気持ちもあったのでしょうか。
個人的には当初のラストシーンも見てみたかったですが、「雁の寺」(1962年)では、幕末太陽傳で実現しなかった幻のラストシーンと似た試みがされているようにも見て取れます。